~経済産業省の「日本型買取制度」についての見解~
再生可能エネルギー大幅普及の仕組みにはほど遠い
浅岡美恵 気候ネットワーク代表
経済産業省は2月24日、太陽光発電について、電力事業者に余剰電力について 10年程度、現状の2倍程度で買い取りを義務づけるという、日本独特の体系による買取制度の導入を発表した。
また、エネルギー供給事業者による非化石エネルギーの利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案(仮称)の中で、経済産業大臣による事業者の「判断の基準」となるべき事項として定める方針も明らかになった。
これは、これまで低い目標数値の下で RPS方式に固執してきたために日本の再生可能エネルギー導入政策が大きく遅れてきたことに批判が強まる中、修正を余儀なくされた結果である。
しかし、この「日本型買取制度」は、日本の低炭素社会経済の実現のため求められる再生可能エネルギーの大幅導入策とは呼べない、不十分なものである。第1に、経済産業大臣が定める「判断基準」によって電力事業者の買取義務の実体が定められるという法構造は、国民参加の下に再生可能エネルギーの飛躍的拡大を図る目的に反するものであり、電気事業者の買取義務づけという性格上の適正な措置とはいえない。NGOはドイツなどで実績をあげている発電電力の長期間固定価格買取制度を踏まえた提案をしてきたところであり、MAKE the RULEキャンペーンにおいても、この仕組みの導入を中長期の大幅削減の目標達成のための重要な政策として位置づけた気候保護法の提案をしている。
先般、環境省からも、再生可能エネルギー拡大への買取制度導入提案が出されている。まず制度設計において、政府全体での連携のもとに、国民に開かれた場において、再生可能エネルギーを飛躍的に拡大し、経済再生にも貢献する仕組みを構築し、国民がその是非を判断できる具体的制度を盛り込んだ法案を国会で審議し、制定後の適切な運用を図ることが不可欠である。第2に、今回の日本型買取制度提案は、再生可能エネルギー供給を柱に据えるための制度にはほど遠い。太陽光発電のみが対象で、風力やバイオマスなどの海外での再生可能エネルギー拡大の中核をなす他の再生可能エネルギーは含まれていない。
また、太陽光発電についても自家消費の余剰電力についてのみであり、期間も10年に限って現状の2倍程度の価格で買い取るもので、それも将来的に逓減させるという。ドイツなどでの普及の飛躍的拡大に成功した要因は、設置者が10年程度で十分に投資を回収できる目途が経っている仕組みであるからである。自家消費量は家庭の省エネ努力というより世帯の事情によって異なる上、仮に発電量の半分が買取対象となるとしても3kW程度の設備では10年程度で到底投資回収ができないことは争いがない。ドイツの買取価格逓減制度は、十分な早期の投資回収を確保したうえで、早期の導入を誘引する仕組みである。
以上の通り、今回、経済産業省が発表した「日本型買取制度」は、再生可能エネルギーの飛躍的普及拡大のための固定価格買取制度と評価することはできない。真に実効性のある再生可能エネルギーの大幅普及政策として、①発電電力の全量買取を電力会社に義務づけ、②買取価格は10年程度で減価償却できる価格設定とし、③RPS制度を撤廃して、太陽光発電だけでなく全ての再生可能エネルギーに対して実施することを確保するべきである。
私たちは引き続き、MAKE theRULEキャンペーンを通じ、実効性ある政策の早期導入を強く求めていく。
問合せ:気候ネットワーク[京都]TEL:075-254-1011、FAX:075-254-1012
E-mail: kyoto@kikonet.org
[東京]TEL:03-3263-9210、FAX:03-3263-9463
E-mail: tokyo@kikonet.org
======================================
気候ネットワーク 京都事務所京都市中京区高倉通り四条上る高倉ビル305
TEL 075-254-1011 FAX 075-254-1012
kyoto@kikonet.org
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MAKE the RULE 新しいル~ルで、地球をク~ルに。
http://www.maketherule.jp/
2009年3月4日水曜日
これでいいのか経済産業省の「日本型買取制度」
~経済産業省の「日本型買取制度」についての見解~
再生可能エネルギー大幅普及の仕組みにはほど遠い
浅岡美恵 気候ネットワーク代表
経済産業省は2月24日、太陽光発電について、電力事業者に余剰電力について 10年程度、現状の
2倍程度で買い取りを義務づけるという、日本独特の体系による買取制度の導入を発表した。
また、エネルギー供給事業者による非化石エネルギーの利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案(仮称)の中で、経済産業大臣による事業者の「判断の基準」となるべき事項として定める方針も明らかになった。
これは、これまで低い目標数値の下で RPS方式に固執してきたために日本の再生可能エネルギー導入政策が大きく遅れてきたことに批判が強まる中、修正を余儀なくされた結果である。
しかし、この「日本型買取制度」は、日本の低炭素社会経済の実現のため求められる再生可能エネルギーの大幅導入策とは呼べない、不十分なものである。第1に、経済産業大臣が定める「判断基準」によって電力事業者の買取義務の実体が定められるという法構造は、国民参加の下に再生可能エネルギーの飛躍的拡大を図る目的に反するものであり、電気事業者の買取義務づけという性格上の適正な措置とはいえない。NGOはドイツなどで実績をあげている発電電力の長期間固定価格買取制度を踏まえた提案をしてきたところであり、MAKE the RULEキャンペーンにおいても、この仕組みの導入を中長期の大幅削減の目標達成のための重要な政策として位置づけた気候保護法の提案をしている。
先般、環境省からも、再生可能エネルギー拡大への買取制度導入提案が出されている。
まず制度設計において、政府全体での連携のもとに、国民に開かれた場において、再生可能エネルギーを飛躍的に拡大し、経済再生にも貢献する仕組みを構築し、国民がその是非を判断できる具体的制度を盛り込んだ法案を国会で審議し、制定後の適切な運用を図ることが不可欠である。
第2に、今回の日本型買取制度提案は、再生可能エネルギー供給を柱に据えるための制度にはほど遠い。太陽光発電のみが対象で、風力やバイオマスなどの海外での再生可能エネルギー拡大の中核をなす他の再生可能エネルギーは含まれていない。
また、太陽光発電についても自家消費の余剰電力についてのみであり、期間も10年に限って現状の
2倍程度の価格で買い取るもので、それも将来的に逓減させるという。ドイツなどでの普及の飛躍的拡大に成功した要因は、設置者が10年程度で十分に投資を回収できる目途が経っている仕組みであるからである。自家消費量は家庭の省エネ努力というより世帯の事情によって異なる上、仮に発電量の半分が買取対象となるとしても3kW程度の設備では10年程度で到底投資回収ができないことは争いがない。ドイツの買取価格逓減制度は、十分な早期の投資回収を確保したうえで、早期の導入を誘引する仕組みである。
以上の通り、今回、経済産業省が発表した「日本型買取制度」は、再生可能エネルギーの飛躍的普及拡大のための固定価格買取制度と評価することはできない。真に実効性のある再生可能エネルギーの大幅普及政策として、①発電電力の全量買取を電力会社に義務づけ、②買取価格は10年程度で減価償却できる価格設定とし、③RPS制度を撤廃して、太陽光発電だけでなく全ての再生可能エネルギーに対して実施することを確保するべきである。私たちは引き続き、MAKE theRULEキャンペーンを通じ、実効性ある政策の早期導入を強く求めていく。
問合せ:気候ネットワーク
[京都]TEL:075-254-1011、FAX:075-254-1012
E-mail: kyoto@kikonet.org
[東京]TEL:03-3263-9210、FAX:03-3263-9463
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2009年3月2日月曜日
梅小路の水族館建設問題を考える。
京都・水と緑をまもる連絡会事務局より
梅小路の水族館問題は、鉄道博物館構想と一体になって梅小路界隈の再開発問題と発展してきました。住民不在の再開発計画を見直させなければなりません。イルカサミットは水族館で予定されているイルカショーを告発する意味もあります。時間が取れればぜひご参加下さい。
「京都に水族館?」キャンペーン
◆◇◆◇◆◇ 「イルカ フォーラム」ご案内 ◆◇◆◇◆◇
~水族館のイルカ、どこから来たか知っていますか?~********************************************************** 生態系の保たれた海は、自然界の水循環を支え、二酸化炭素を吸収して地球温暖化を防ぎ、私たちに豊かな海産物を提供してくれます。大型哺乳類であるクジラやイルカは、このような豊かな海のシンボルです。 現在、京都市下京区の梅小路公園地区に、オリックス不動産株式会社が「国内最大級の内陸型水族館」の建設を計画しています。目玉事業の一つが、イルカのショーです。イルカは、乱開発や乱獲、海水汚染などにより、近年、世界中で数を減らしています。日本の水族館で展示するためのイルカ猟は、世界から非難されており、水族館のイルカの寿命は、野生で生きるときと比べて3分の1とも言われています。 この度、アメリカから、世界各地で飼育下のイルカの野生復帰のための活動を行っているリチャード・オバリー氏を迎え、水族館でのイルカ展示の問題、野生のイルカが置かれている現状をお伝えします。*リチャード・オバリー氏プロフィール アメリカ、フロリダ州在住。1939年生まれ。Save Japan Dolphins連盟団体代表。1960年代に、世界的にヒットしたテレビ番組「わんぱくフリッパー」のイルカ調教師として活躍。フリッパー役のイルカの死をきっかけに、イルカの保護及び野生復帰活動に転じ、以来約50年間、世界各地でイルカの救済に尽力している。1991年、「地球と全地球生物の環境保護」のために尽力したとして、国連環境計画委員会から「環境保全賞」を受ける。日本で翻訳されている著書として「イルカがほほ笑む日」(TBSブリタニカ1994年)、「イルカのハッピーフェイス」(地湧社1994年)がある。
●日時・会場 2009年3月8日(日)午後2時~午後4時 梅小路公園内 緑の館1階 イベント室
(京都市下京区七条大宮西入る TEL 075-352-2500)
交通アクセス http://www.kyoto-ga.jp/new/umekouji/umekouji_access.html
●定員 100名(先着順・事前申込制 ※当日も空きがあれば参加可能)
●参加費 無料 ※会場でカンパを募りますので、ご協力ください。
●主催 いきもの多様性研究所、日本環境保護国際交流会(J.E.E.)、エルザ自然保護の会
●申込方法 いきもの多様性研究所事務所に、3月6日(金)までに、メール、 FAXにて、
お名前、ご連絡先、所属団体をご連絡ください。
○お申込・お問合せ先 いきもの多様性研究所 〒604-8862 京都市中京区壬生森町13-34 URL http://www.jca.apc.org/~qzu03325/ikimono.html
E-Mail inst.biodiversity@gmail.com
FAX(D-FAX)020-4666-3091(IP・光電話の方は075-203-6449)
梅小路の水族館問題は、鉄道博物館構想と一体になって梅小路界隈の再開発問題と発展してきました。住民不在の再開発計画を見直させなければなりません。イルカサミットは水族館で予定されているイルカショーを告発する意味もあります。時間が取れればぜひご参加下さい。
「京都に水族館?」キャンペーン
◆◇◆◇◆◇ 「イルカ フォーラム」ご案内 ◆◇◆◇◆◇
~水族館のイルカ、どこから来たか知っていますか?~********************************************************** 生態系の保たれた海は、自然界の水循環を支え、二酸化炭素を吸収して地球温暖化を防ぎ、私たちに豊かな海産物を提供してくれます。大型哺乳類であるクジラやイルカは、このような豊かな海のシンボルです。 現在、京都市下京区の梅小路公園地区に、オリックス不動産株式会社が「国内最大級の内陸型水族館」の建設を計画しています。目玉事業の一つが、イルカのショーです。イルカは、乱開発や乱獲、海水汚染などにより、近年、世界中で数を減らしています。日本の水族館で展示するためのイルカ猟は、世界から非難されており、水族館のイルカの寿命は、野生で生きるときと比べて3分の1とも言われています。 この度、アメリカから、世界各地で飼育下のイルカの野生復帰のための活動を行っているリチャード・オバリー氏を迎え、水族館でのイルカ展示の問題、野生のイルカが置かれている現状をお伝えします。*リチャード・オバリー氏プロフィール アメリカ、フロリダ州在住。1939年生まれ。Save Japan Dolphins連盟団体代表。1960年代に、世界的にヒットしたテレビ番組「わんぱくフリッパー」のイルカ調教師として活躍。フリッパー役のイルカの死をきっかけに、イルカの保護及び野生復帰活動に転じ、以来約50年間、世界各地でイルカの救済に尽力している。1991年、「地球と全地球生物の環境保護」のために尽力したとして、国連環境計画委員会から「環境保全賞」を受ける。日本で翻訳されている著書として「イルカがほほ笑む日」(TBSブリタニカ1994年)、「イルカのハッピーフェイス」(地湧社1994年)がある。
●日時・会場 2009年3月8日(日)午後2時~午後4時 梅小路公園内 緑の館1階 イベント室
(京都市下京区七条大宮西入る TEL 075-352-2500)
交通アクセス http://www.kyoto-ga.jp/new/umekouji/umekouji_access.html
●定員 100名(先着順・事前申込制 ※当日も空きがあれば参加可能)
●参加費 無料 ※会場でカンパを募りますので、ご協力ください。
●主催 いきもの多様性研究所、日本環境保護国際交流会(J.E.E.)、エルザ自然保護の会
●申込方法 いきもの多様性研究所事務所に、3月6日(金)までに、メール、 FAXにて、
お名前、ご連絡先、所属団体をご連絡ください。
○お申込・お問合せ先 いきもの多様性研究所 〒604-8862 京都市中京区壬生森町13-34 URL http://www.jca.apc.org/~qzu03325/ikimono.html
E-Mail inst.biodiversity@gmail.com
FAX(D-FAX)020-4666-3091(IP・光電話の方は075-203-6449)
2009年2月18日水曜日
京都議定書発効4周年記念フォーラム報告
2009年2月15日 13:30よりハートピア京都にて京都議定書発効4周年記念フォーラムが気候ネットワークと地球温暖化防止京都ネットワークの主催で開催されました。
気候フォーラム浅岡美恵代表は「低炭素社会への挑戦~進む世界と取り残される日本~」と題して、世界の低炭素経済社会へのイギリスやEUの取組を紹介しました。ブッシュ政権下で遅れているといわれていたアメリカや成長著しい中国でさえ、再生可能エネルギーの導入はかなりあったことを指摘。殆ど何の政策も実行もこの10年間してこなかった日本の現状が、世界の動きから取り残されつつあることを豊富なデータで示しました。その上で、先進諸国が温暖化防止のための法律を制定し、中長期目標に向かってCO2削減に乗り出している世界の動きに追いつき、日本にも早期の「気候保護法」の制定が必須であることを訴えました。
特別報告-京都府保険医協会の飯田哲夫氏は「CO2を出さないと宣伝されている原子力発電のうそ」を報告。実際はウラン採掘、濃縮過程で大量のエネルギーを要し、大量のCO2を排出していること。また高レベル放射性廃棄物は100万年も残留すること、世界中の放射性廃棄物が広島原爆の80万発もたまってしまっている現実を示し、しかも世界中の誰もこれをどう処理してよいか分からない現状を報告し、温暖化防止策に原発は不適切であることを訴えました。
主催者側からフォーラムを締めくくり、京都ネットの原強さんから、「Make the Rule---気候保護法を作ろう」キャンペーンのための学習会、署名活動、地方議会への意見書提出、大きな組織への呼びかけ、COP15コペンハーゲン会議に向けての日本政府の積極的態度を作る世論の盛り上げについて、協力要請をしました。
レポーター:地球温暖化防止京都ネットワーク(右衛門佐 美佐子)Yomosa Misako
気候フォーラム浅岡美恵代表は「低炭素社会への挑戦~進む世界と取り残される日本~」と題して、世界の低炭素経済社会へのイギリスやEUの取組を紹介しました。ブッシュ政権下で遅れているといわれていたアメリカや成長著しい中国でさえ、再生可能エネルギーの導入はかなりあったことを指摘。殆ど何の政策も実行もこの10年間してこなかった日本の現状が、世界の動きから取り残されつつあることを豊富なデータで示しました。その上で、先進諸国が温暖化防止のための法律を制定し、中長期目標に向かってCO2削減に乗り出している世界の動きに追いつき、日本にも早期の「気候保護法」の制定が必須であることを訴えました。
特別報告-京都府保険医協会の飯田哲夫氏は「CO2を出さないと宣伝されている原子力発電のうそ」を報告。実際はウラン採掘、濃縮過程で大量のエネルギーを要し、大量のCO2を排出していること。また高レベル放射性廃棄物は100万年も残留すること、世界中の放射性廃棄物が広島原爆の80万発もたまってしまっている現実を示し、しかも世界中の誰もこれをどう処理してよいか分からない現状を報告し、温暖化防止策に原発は不適切であることを訴えました。
主催者側からフォーラムを締めくくり、京都ネットの原強さんから、「Make the Rule---気候保護法を作ろう」キャンペーンのための学習会、署名活動、地方議会への意見書提出、大きな組織への呼びかけ、COP15コペンハーゲン会議に向けての日本政府の積極的態度を作る世論の盛り上げについて、協力要請をしました。
レポーター:地球温暖化防止京都ネットワーク(右衛門佐 美佐子)Yomosa Misako
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